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歯周病と早産の関係

早産※1の原因には主に感染症、喫煙、妊娠中毒症などが考えられますが、直接的な要因は子宮筋を収縮させる働きがある「プロスタグランジン※2」という、ホルモンに似た物質が異常に合成されることにあります。
これが子宮収縮をひき起こし早産につながります。
歯周ポケット内で繁殖するグラム陰性菌※3の毒素が血中に入ると、この「プロスタグランジン」を異常合成させ、子宮筋を収縮させます。
また胎盤ホルモンが血液を通して歯肉から滲み出す(歯肉溝滲出液)と、グラム陰性菌が爆発的に増加し、歯周病の進行が速まります。
つまり妊娠中は歯周病菌の増加を起こしやすく、またその歯周病菌が早産をひき起こしやすくなるという悪循環が発生するわけです。
 参考:Offenbacher Report(1996)
 
※1 早産
妊娠期間22週0日~36週6日で出産に至った場合に早産といいます。
それに対して低体重児とは在胎期間に関係なく出生時の体重が2500g未満の新生児をいいます。
ここでいう早産には低体重児は含まれません。
 
※2 プロスタグランジン
オキシトシンと並んで、陣痛促進剤として使われる成分です。
体内で合成されるプロスタグランジンにはさまざまな種類があり、それぞれに働きも異なります。
その中の一つが子宮収縮に作用します。
これは正常分娩のときにも合成されるもので、通常は身体の必要な部分に必要な量だけ合成されます。
 
※3 グラム陰性菌
歯周病菌には数百種類あり、それを大別してグラム陽性菌とグラム陰性菌と呼びます。
歯周ポケット内で繁殖するほとんどの菌がグラム陰性菌です。
このグラム陰性菌は嫌気性の菌で、酸素の存在する条件下では生存できません。
ですから歯周ポケット内の酸素の届かない場所でのみ繁殖します。
進行した歯周病(歯槽膿漏)の原因はこのグラム陰性菌によるものです。