フッ素の効果と危険性
フッ素の歴史
ここにいう歴史とは、歯とフッ素の関わりの歴史を意味します。
斑状歯という、歯に斑点ができ朽ちたようになる病気が最初に報告されたのが1900年頃で、それがフッ素と関係があることがわかったのが1930年代だといわれています。
さらに斑状歯の患者が多い地域の人に虫歯が少ないという報告がされたのが1940年代であり、1969年にはWHOがフッ素による虫歯予防を提言することになります。
フッ素の効果(1)~虫歯予防~
公共用水にフッ素を入れて、虫歯で失う歯の本数がどのように変化するかを調べた結果、フッ素を添加しない場合に比べて
フッ素濃度1.0ppm・・・約50%減少
フッ素濃度2.0ppm・・・約60%減少
フッ素濃度2.0ppm以上にしても虫歯の減少率はほぼ変化なし。
という報告があります。ただし、一日の摂取量や日数などにより結果は変わることが考えられます。
各国でフッ素による虫歯予防が行われてきましたが、1.0ppm以下で使用している国が多いようです。
また、 フッ素使用国は過去40ヶ国以上になった時期もありますが、現在はほぼ半数に減少しているということです。
(注:フッ素使用国・・・国内の一都市で水道水にフッ化物を添加した国)
フッ素の効果(2)~エナメル質の再石灰化~
歯の表面を覆っているエナメル質は水晶よりも硬いとされていますが、酸の侵襲にはきわめて弱いという性質を持っています。
エナメル質の96%はハイドロキシアパタイト結晶でできており、これにフッ素が作用するとフルオロアパタイトに変わり、このフルオロアパタイトは酸に強く、またハイドロキシアパタイトの結晶の欠落部分を補修するといわれています。
しかし正確にはフッ素の効果はエナメル質を変質させ酸に強くすることであり、これを再石灰化というのは 語弊があるという指摘もあります。
再石灰化とは歯の表面にミネラルが沈着してエナメル質が修復されることをいい、これには唾液の作用が深く関与しています。
フッ素の危険性(1)~斑状歯~
フッ素濃度を上げれば虫歯は減少しますが、それに伴い斑状歯は増加します。
このことがフッ素濃度を1.0ppm以下で使用する国が多い理由です。
斑状歯は別名「歯腐れ病」とも言われ、進行すると審美的に大きな問題があります。
また虫歯になった斑状歯はエナメル質が弱いため治療が困難で抜歯を余儀なくされる場合も多いとのことです。
フッ素の危険性(2)~斑状歯以外の副作用~
骨の発育異常や骨折率の増加、ダウン症、がん、老人性痴呆などの関連を指摘した論文の発表もされていますが、これについても議論されている段階のようです。
<現在のフッ素の扱い>
WHO
1994年に「6歳以下の子供へのフッ素洗口は強く禁止する」という見解を出しています。
諸外国
スウェーデン、ドイツ、オランダなどではフッ素の使用を中止。
フッ素予防の発祥地であるアメリカでも1990年代半ばからフッ素の人体に対する毒性だけでなく、環境に及ぼす影響も含めて議論が起こり、大きく 方向転換をし始めているそうです。
日本
現在までに日本で水道水にフッ素を入れた地域は3ヶ所あります。
沖縄県(1945年~1972年)
京都府 山科(1952年~1963年)
三重県 朝日町(1963年~1967年)
なお、兵庫県の宝塚で1971年にフッ素濃度が高い水道水が供給されたために斑状歯が増加したという報告があり、新聞などでも大きく報道され調査委員会が作られるほどの問題になっています。
しかし、全体としてはフッ素推進派の意見が主流となっています。
フッ素とその使用法
現在、水道水にフッ素を添加しようとする意見が国内でも活発に議論されています。
それ以外にフッ素入り歯磨き剤、フッ素の錠剤、フッ素塗布、高濃度フッ素による洗口などがその使用法として挙げられます。
強い推進派の意見にもかかわらず、厚生労働省はまだ水道水にフッ素を添加することを認めていません。
これは反対派の「フッ素の使用はあくまで個人の自由意志によるべきであり、強制的にフッ素を添加した水道水を国民に飲ませることは 人権侵害にあたる」という意見によります。
日本人の虫歯は1984年の調査開始から現在(2016年)まで毎年減少しています。例えば12歳の虫歯数は1984年の1/5にまで減少しています。
これは治療環境の改善や予防の啓蒙によるものだと言われています。
この現状を考えれば、様々な危険性が疑われるフッ素を公共水に混入させたり、校医が全校児童および生徒にフッ素洗口を奨励することには疑問が残るところです。