<唾液とそのはたらき>

● 唾液のはたらき

1.浄化作用

 唾液には口腔内を浄化するという重要なはたらきがあります。1ミリリットル(1cc)の唾液が 口腔内の細菌を90億個も取り除きます。ところが睡眠中は唾液の分泌速度が非常に遅いため、口腔内 細菌は朝には最大となります。起床時に口臭が強いのは、このことが深く関係しています。

2.エナメル質の溶解防止

 食物(主に糖、炭水化物)を摂ると口腔内の細菌はこれらを代謝して酸を生産します。この酸がエナメル質を 溶かしてしまいます(歯の脱灰)。
 しかし唾液には口腔内の酸を中和し正常な状態(中性〜弱アルカリ性)に戻すはたらきがあります。 正常な状態に戻れば脱灰は止まり、逆に修復が始まります(再石灰化)。


● 口腔乾燥症(ドライマウス)
 口腔乾燥症とは口の中が乾くもので、唾液の分泌速度の低下が原因で起こる症状です。つまり唾液の分泌量が減ってしまう わけですが、こうなると唾液の「歯を守る」という重要な役割を十分に果たせなくなってしまいます。 しかしこれは珍しい症状ではなく、一般人のおよそ4人に1人(高齢者ではおよそ40%)が口腔乾燥症 だと言われています。これまで口腔乾燥症は加齢により発症する避けがたい症状だとされてきましたが、最近の 研究では加齢よりも薬物の服用が大きな原因だとされています。高齢になる程薬物の服用も多くなるので 結果的に高齢者ほど口腔乾燥症になりやすいというわけです。

● ガムを噛む効果
 唾液分泌量が少ない人はガムを噛むことである程度補うことができます。なるべくなら糖分を含まない シュガーレスガムが良いのですが糖分を含むガムでも噛まないよりずっと効果はあるそうです。またキシリトール 入りのガムには再石灰化を促進する効果や抗菌効果もあり、口腔内メンテナンスの助けになるものと 思われます。また、ガム以外ではチーズが口腔内の酸を中和するはたらきがあり、さらに強い唾液分泌促進物質 でもあるので、歯にとっては一石二鳥の食物だと言えそうです。

※ キシリトール : 1997年 厚生省認可

● 歯磨き剤
 歯磨き剤の中にはフッ素入りのものがあります。フッ素は歯の脱灰を防ぎ、再石灰化を促進するはたらき があるので、エナメル質の溶解防止に効果が期待できます。フッ素の錠剤などもあるようです。
 また、歯磨き剤に含まれている歯石形成を防止する成分は有効に作用しているといえますが、これは 歯肉縁上の歯石に対しての効果で、歯肉縁下(つまり歯周ポケット内)の歯石に対してはあまり効果は 期待できません。
 これらはいずれも唾液のはたらきを補佐するだけのものであって、頼りすぎは禁物です。また一方、殺菌効果が強すぎるものも 使い方を十分注意する必要があります。

※ フッ素に関しては近年その危険性が指摘されており、使用には十分な注意が必要です。
● 口腔内細菌
 口腔内には善玉菌、悪玉菌を含め数百種類の細菌がいるといわれています。そのうちの7割の菌は口腔内の環境を一定に保つ という重要なはたらきをしています(歯周病にかかわる菌はほんの数十種類だといわれています)。 細菌というと排除した方がよいと考えがちですが、実は細菌の増え過ぎも減り過ぎもよくありません。その調節を しているのが唾液なのです。 つまりさまざまな菌と唾液による口腔内の微妙なバランスを保つことが歯の健康を維持する上で大切なことなのです。 以上のことから一部の悪性菌を排除するために強力な殺菌効果を持つ歯磨き剤やその他の殺菌剤を使うことは できる限り避けた方がよいと思われます。

歯槽膿漏用・電動歯ブラシ